真夏の企み

 

 

 

 

 


夏!!
といえば、水着!!


今年はセクシーな水着を買って、和馬お兄ちゃんを悩殺しちゃおう作戦を思いついたあたしは、さっそくお兄ちゃんを誘ってみることにした。

 

「そんなわけで、水着を買いに行こう、お兄ちゃん!!」
「いってらっしゃい」

あたしが意気込んで、ソファーでくつろぐ和馬お兄ちゃんに告げればばっさりとそんな返事が返ってきた。

 

「お兄ちゃんも一緒に来てよ〜!!」
「なんで俺まで行くんだよ?だいたいなんだよ、『そんなわけで』って。意味わかんないぞ?」
「ふたりの初めての夏だよ?準備だってしっかりしなきゃ」
「・・・だから意味わかんねぇって。・・・・・・ロゼがいるだろ、ロゼが。あいつを連れてけばいいじゃないか」
「仕事だって言って、いないもん〜!!」
「・・・仕事?また?」

 

なんだか知らないけど、お兄ちゃんはロゼが仕事に行く日は不穏な空気を漂わせる。
でも今は、ロゼの仕事よりも、水着、水着!!

 

「ね〜!!ロゼもいないから、和馬お兄ちゃんが付き合ってよ!!」
「静子ちゃんがいるだろ。なんなら里奈を呼んでやろうか?」


そりゃ、しずちゃんや里奈お姉さんとの買い物も楽しそうだけど・・・・・・でも、今回は違うんだもん!!

 


「だめ!!恋人と水着を買いに行くのが夏の醍醐味のひとつでしょ?!」
「・・・・・・誰が恋人なんだよ」


ため息をつきながら、お兄ちゃんは読んでいた雑誌を閉じた。
それだけであたしはわかった。
一緒に行きたいと言い張ったあたしの勝ちだってね!!

 

 

 

 


「あ、お兄ちゃん、あそこだよ、あそこ!!」
「・・・わかったから、ちょっと静かにしろよ、愛良」
あたしと和馬お兄ちゃんででかけた先は、駅前のデパート。
ちょうど時期ものってことで、水着販売の特設会場ができていて、あたしは大興奮してお兄ちゃんをそこに引っ張って行く。
もちろん、あたしたちみたいにカップルで水着を選んでいる人たちはたくさんいる。


「ねぇ〜どれがいいかな〜?」
「どれでもいいんじゃないの?」
ウキウキしながらあたしが水着を手にとっても、和馬お兄ちゃんはどうでもよさそうにあたしの後ろを歩いてる。
あたしはムっとしながらも、ひとつの水着をお兄ちゃんの前に差し出した。


「これなんかどう?」
「・・・・・・それは、おまえには早いだろ・・・」
「でもお兄ちゃん、こういうの好きでしょ?」
「・・・ま、そういうのが似合う子が着ればね」

 

あたしが持っているのは結構派手なビキニ。
あたし、ちゃんと知ってるんだから。

一見行動や発言が硬派に見える和馬お兄ちゃんだけど、ほんとはそうじゃないって。


・・・ほんとは、セクシーな女のヒトとか、好きなんだよね・・・・・・。

 

・・・・・・ま、そうじゃなきゃ、宗次お兄さんとあんなに仲良くしないよねぇ・・・・・・。

 

だから、あっさりとそういうビキニ姿の子が好きだって言ったお兄ちゃんにも頷いてしまう。
でもでも、だからこそ、あたしだってそういうのを着て、お兄ちゃんを魅惑しなくちゃ!!
「よし、じゃぁやっぱりあたしもこれを買う!!」
「・・・だから似合わなきゃ意味ないだろって」
はぁって大きなため息をつきながら、和馬お兄ちゃんはそんなことを言ってくる。

 

「・・・だって・・・」
「愛良だったらこういうのが似合うだろ?」
そう言いながらお兄ちゃんが無造作に指さしたのは、フリフリしたワンピースの水着。

 

・・・そして当然、それは子供用水着コーナー・・・・・・。

 

「ここはまだお前には早いコーナーなの。愛良のサイズはあっちだろ?」
「だって、あれじゃぁ、お兄ちゃんの好きなデザインじゃないもん」
「・・・なんだよ、俺の好きなデザインって・・・」
がっくりとうなだれたあと、お兄ちゃんは苦笑しながらあたしの頭を撫でた。

 

「人にはそれぞれ似合う、似合わないってのがあるんだよ。それも的確に自分で把握できなきゃ一人前のレディとは言えないんじゃないか?」

 

それは憎らしいほどカッコいい笑顔で。
ちょっと挑戦的に笑う和馬お兄ちゃんは、さらに言った。

 

「無理に背伸びすることはないんだよ。今の愛良に似合うものを着れば、それが一番自分が輝ける姿になれるから」
「・・・うん」

 

そんな風に言われたら、あたしはもう頷くしかない。ちょっと名残惜しかったけど、あたしは自分のサイズに合った水着のコーナーに足を運ぶ。
最後にちらり、とビキニコーナーに視線を送って、心の中で誓った。

 

いつか絶対、この水着の似合う女になって、和馬お兄ちゃんをメロメロに悩殺しちゃうんだから!!!

 


だけどそのあと、水着を選ぶあたしの横で、試着室から出てくる女のひとたちに視線を送るお兄ちゃんを咎めるのにあたしは忙しくなるのだった。

 

 

 

・・・しばらくは、お兄ちゃんと水着選びは行かなくていいや・・・。
それが、今回の教訓。

 

 

 


2010.2.8


 

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まだ本編では夏休みになってませんが、これは夏休みでのやりとりです(笑)

 

どう考えたって、愛良が大人の水着を着れるはずがない(笑)でもたぶん、背伸びして着ようとするんだろうなぁ、この子はって感じです(笑)

でも、愛良ってスクール水着が似合いそうだなって勝手に想像してるんですけど(笑)しずちゃんはワンピとか似合いそうだけど。

 

それにしても、2月に季節外れな短編を書いてたんですね、紫月は(笑)

 

 

 

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