珍しい悲鳴

 

 

 

瀬戸 和馬は、よく怪我をする。それも、普通の大学生が負うはずのない、深い傷ばかりを。


それは、彼が人には言えない<怪盗夜叉>という裏の顔を持っているためである。

 

 

 

怪盗を始めて1年余り。
警官に追い回されることも慣れ、謎の不穏な組織に命を狙われることも日常茶飯事となっている彼は、それでも生傷が絶えない。

 

 

特にひどいものになると、銃であちこちを撃たれて帰ってくることもある。

 


銃創など、普通の人間ならその焼けつくような痛みで、掠っただけでも悲鳴をあげる。
けれど、和馬は忍耐強くその痛みに奥歯を噛みしめて耐えることができた。
どんなに深い傷でも、どんなに怪我が増えても、彼は弱音も吐かず、ぐっと耐えてみせた。

 

 


そんな和馬をサポートする宗次や里奈、傷つく彼を治療する実は、いつも彼を心配していた。
・・・・・・時々、彼で遊ぶこともあったが。

 

 

 


そんな痛みに我慢強い和馬が、その日、自宅で大声を上げて痛みを訴えてくる光景を目の当たりにした実たちは、珍しい光景を見た気がした。

 

 

 

 


「いって〜!!!い、いたい、ちょ、もう、やめろって!!」
「和馬、いつもあんなに怪我の痛みに強いんだからもっと我慢しろよ」
「そうだよ、別にどこからか出血してるわけじゃあるまいし」
「お、おまえら、人ごとだと思って・・・・・・!!」

 

 


身もだえしながら痛みを主張する和馬を抑えるのは宗次。そして、実も和馬の足を掴んで離さない。

 

 


「やだなぁ、かずくん。俺たちのかずくんへの愛がわからない?」
「宗次、おまえ、絶対この状況を楽しんで・・・・・・いたたたたたた・・・・・・!!」
「あはは、あたりめーじゃんよ、こんな楽しい状況あるわけない!!な、愛良?」
「ん〜、でもなんか、痛そうでかわいそうじゃない?」

 

 


逃げようとする和馬を押さえ込む宗次は、にやにやしながら傍らでこの珍しい光景を眺めているもうひとりの傍観者、愛良に話しかけた。
ちなみに本日、和馬の唯一の味方(だと信じたい・・・)里奈はこの場にいない。

 

 

 

「愛良ちゃん、痛いってことはそれだけ和馬の身体に悪いところがあるってことなんだ。だから、こうしてほぐしてあげるのがいいんだよ」
「いってー!!・・・ほぐしてなんかいないだろ、実!!!」
和馬の足をがっしり掴んで離さない実に和馬は抗議するが、実はどこ吹く風である。

 

「何を言うかな、和馬。和馬のために、僕は足ツボマッサージまで覚えたのに」
「覚えなくていい〜!!」
悲鳴のような声をあげて、和馬は必死に抵抗する。

 


・・・・・・そう、和馬は今、実の手によって、容赦ない力で足裏マッサージを受けていたりする。
それがまた、的確に痛いツボをつきながらのマッサージであるから、いくら痛みに強い和馬でも大騒ぎである。

 

 

「ねぇねぇ、実お兄さん。あたしもできるかな?こっちの足、あたしもやってみたい」
「お、積極的だなぁ、愛良。さすが愛の力は違うな」
「煽るな、宗次!!そんでもって、そこで教えるな、実〜!!!」
「でも、和馬。両足同時にやったほうが効果があるかもしれないぞ?」
「大丈夫だよ、お兄ちゃん!!あたし、力いっぱいがんばるから!!」
「や〜め〜ろ〜・・・・・・!!!」

 

 

張り切る愛良に、じつに楽しそうな宗次と実。
もはや、和馬は四面楚歌だった。
怪盗やってるときだってこれほどの危険を感じたことなんかない。

 


「もう勘弁してくれ〜!!!!」

 

 


和馬の叫びは、むなしいほど無視され、その<愛のマッサージ>は続けられた。

 

 

 

2010.2.15
 

 

 

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実際、イタイですよね、これは。

 

ふと、マッサージ屋さんの看板を見かけて思いついた小話でした(笑)

結構和馬はみんなのおもちゃにされてますね(笑)

素直な性格だからかしら〜?!

 

WEB拍手のお礼話として載せていたので、こちらに載せるのがずいぶんと遅くなっちゃいました(汗)

じつは、そうやってたまっているのがいくつか・・・(笑)

こちらに載せる際に壁紙を選ぶのでvv

 

今回のイベントを機会に、たまってる分も更新しちゃいたいですね(笑)

 

あ、ちなみに、WEB拍手のお礼話は着々と毎月更新してますので、ぽちっと押して見てやってください♪

 

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