特別な月曜日

 

 

 

 

 

朝。ぽっかりと目を開ける。
・・・・・・よくわからないが、眠いけど、目が覚めた。

 

和馬はのっそりと起き上がり、ベッドサイドの目覚まし時計で時間を確認する。
すると、何の運命のイタズラか、時計が止まってる。

 

・・・え〜と・・・・・・たしか、今日は一限からはずせない講義があった気がする・・・・・・。

 

昨夜ハードな怪盗の<仕事>だった上、帰宅も遅かったせいか、睡眠不足で頭がまだうまく覚醒しない。しかししばらくすると、和馬の中で段々と現状に対する危機感というものが浮上してきた。

 

・・・あれ?一限には絶対出なきゃいけないってのに・・・・・・目覚ましが止まってるってことは・・・・・・。

 

「今何時だ?!」
はっと彼は上着に入れたままだった携帯を取り出す。
すると、何とも神のイタズラもここまでやるかといった具合に、携帯も電池切れのため電源が切れている。

 

「ちょ、愛良はどうしたんだ?!」

 

小学生の愛良が登校していれば、大学生の彼にとって一限の講義に出るには相当やばい時間だが、まだ家にいるようであれば時間的に猶予がある、ということになる。
一か八かの賭けのような気分で和馬は慌ててリビングに向かった。

 

「愛良?!」
しかし、無情にもそこに愛良の姿はなかった。
リビングにある掛け時計を見れば、時間はすでに八時半を指そうとしている。
・・・完璧なる寝坊だ・・・・・・。

 

「・・・行く気失せる・・・・・・」
遅刻とわかっているのに、あえて遅刻してまで行かねばならない講義なのか、和馬の頭の中で素早く計算が始まる。
果たして、この講義を出なくても、単位はとれるかどうか・・・・・・。
・・・・・・結果、やはり遅刻でも行かねばならない、という残酷な結果がはじきだされた。

 

「・・・仕方ない、とりあえず宗次にだけ連絡して、向かうか・・・」
たぶん、宗次も寝坊している気がするが。
緩慢な動きでリビングから自室に戻ろうとした和馬の耳に、ここにいるはずのない人間の絶叫が聞こえてきた。

 

「きゃ〜!!!寝坊した〜!!」
「・・・愛良?!」


ドタバタと階上で大騒ぎしている音が聞こえる。
・・・なんと、どうやら愛良も寝坊したらしい・・・・・・。

 

「あ、あれ?お兄ちゃん今朝は早いね?!」

 

大慌てで階段を降りながら、愛良は和馬を見つけてそんなことを言ってくる。だが、和馬の返答を待つことなく、愛良はばたばたと用意を続けている。
洗面所で大慌てしている愛良の気配を察しながら、ふと、和馬は考えてみる。

 

今はもうすでに八時半は回ってしまった。
これからどう急いでも愛良だって遅刻。
なのにきっと、あの少女は朝食も食べずにこのまま小学校へ駆けだしていくのだろう。

 

小学生という育ちざかりの子供が朝食を抜くなんて言語道断。
和馬の母は朝食を抜くことを決して許さなかった。
・・・・・・その割に、現在の和馬の食生活は悲惨なものがあるが。

 


ふむ、と和馬は考えた後、電話の受話器をとって、どこかに電話を始めた。

 

 

その後もドタドタと大騒ぎしつつもなんとか用意が整った愛良は、案の定朝食など思いつきもしていないのだろう、大慌てで玄関に向かう。
「こら、愛良、朝ごはんは?!」
「お兄ちゃん、あたし遅刻しちゃうからそれどころじゃ・・・・・・」
「大丈夫、愛良が遅刻すること担任の先生に伝えたから」
「・・・・・・へ?」

 


ランドセルを背負い、玄関で立ちつくす愛良に、和馬はいたずらっ子のような笑みを向ける。
「腹痛のため、遅刻しますって言っておいたから、少しくらいなら遅刻しても大丈夫」
「・・・・・・いいの?それって・・・・・・」
「成長期の朝食は何よりも大事。だからほら、用意してやったんだから食べていけ」
用意した、とは口ばかりで、できているのは焼きあがったトーストだけ。それでも、和馬にとっては朝食は朝食である。
「ちなみに、俺も腹痛のため遅刻だから、食べてから行くさ」
いつもはあまり食に興味を示さない和馬だが、嘘をついてまで朝食を食べて行くべきなのかどうか迷っている愛良に付き合うように、テーブルについてしまう。

 


「ほら、愛良。悩んだって仕方ないんだぜ?もう連絡は済んでるんだから」
ニヤニヤ笑いながらトーストにかじりつく和馬を見ていて、愛良もお腹がすいてくるのを感じた。
「・・・しょうがないなぁ、和馬お兄ちゃんは」
わざとらしいため息をつきながら、愛良はランドセルを置いて和馬の目の前に座った。

 


月曜からふたりして寝坊して、ふたりして腹痛のため遅刻の嘘をついて、のんびりと朝食を食べている。
そんなふたりの、珍しい朝。

 

 


2010.3.20

 

 

 

*******************************

 

なんだか珍しいのほほんとしたふたりの朝でした。

基本的に愛良ってマジメなんでずる休みとかしない子だと思うのですが、和馬は常習犯な気が・・・(笑)

そして間違えなく朝が苦手なので、寝坊も多そうですね。

 

 

朝食はきちんと食べましょう、というのは紫月の家でも言われています。

和馬もお母さんの言い分をちゃんと守ってるのはえらいですね(笑)

朝食と遅刻を天秤にかけて朝食をとったのも見事ですが(笑)

 

 

 

 

 

BACK

 

 

 

inserted by FC2 system